INSTeM Convention 2024 Autumn@関大梅田キャンパス
「大人のためのリテラシー:デジタル世界を学ぶ、遊ぶ、デザインする」

コンベンションを終えて(レポート)

10/01/2024
出展者と参加者で賑わうINSTeM Convention 2024 Autumn @ 関大梅田キャンパス 

2024年9月14日(土)午後、INSTeMは関西大学梅田キャンパスと共催で「INSTeM Convention 2024 Autumn」を開催した。専門家と非専門家を架橋する新たな知のネクサス(nexus)として設立されたINSTeMにとって、関西でイベントを開催することも、他の組織と協働することもこれがはじめてである。会場となった関大梅田キャンパスは、「人を導き、自ら起こし、創る人を育成する」ことを目的として関西大学が設けた学生や社会人のための学びの場であり、いわば大人のための学びのセンターとしての役割を担っている。

約半年前に最初のINSTeMコンベンションを東京で開催した私たちは、はたして関西でどれくらいの人々が関心を持ってくれるのか少し心配していたが、結果として15組の方々が出展をしてくださり、会場は一般参加者、出展者、INSTeM関係者らを含め110名を超える人々で賑わった。

今回のテーマは、「大人のためのリテラシー:デジタル世界を学ぶ、遊ぶ、デザインする」。

出展内容は「科学とデジタル技術」「市民社会とデザイン」「ビジネスとライフスタイル」という大きな三つのカテゴリーに分かれている。出展者は、大阪梅田のど真ん中にあるビルの8階で、約400平米というちょうどよい広さのフロアのあちこちに散らばり、用意されたダンボール板2枚と机や椅子を活用して思い思いの展示やミニワークショップをおこなった。ここでそのすべては紹介できないが、いくつかを取り上げてかんたんにお伝えしておこう。

生活協同組合コープこうべからは、地域で組合員がおたがいの助け合いを通して交流するための「たすけタッチ」というシステムの出展があった。このシステムの開発、運営を担ってきた浜地研一氏らが、当日自らの手で描いた概念図をもとに、独自のデジタル技術を使って生協のコミュニティにおける日常生活の困りごとを他の組合員の人が助けるという仕組みの経験やノウハウを披露してくれた。

甲南高校ボランティア委員会は、地域の小学生に対するSNS講座の内容を披露してくれた。高校生による出展の中身は本格的で、参加した大学生や大人が大いに刺激を受けている様子だった。リテラシーとは教えることと教わることの両方を通じて身についていくものだと、あらためて確認する機会を与えてくれた。

また関大梅田キャンパスでは、社会人や地域住民を対象として人々の交流や学び合いのための環境をデザインしたりファシリテートできる人材の育成を目的として、7月からソーシャル・コミュニケーションリーダー(SCL)養成講座が開催されていた。この日は今年の講座を履修した約20名の参加者たちがその成果を披露し、また成果をもとにコンベンションを総括するような活動を展開してくれた。

このほかにも、子どもの主体性や創造性を育むための福岡の活動、AIを用いた音響メディア作品を披露してくれたアーティスト、千里ニュータウンの記憶と未来をつなぐ財団法人、5つの大学のゼミ活動など、魅力的な出展が目白押しであった。

今回のコンベンションには、講演やシンポジウムは設定されておらず、出展者によるプレゼンテーションやワークショップ、そして全出展者による自己紹介と感想コメントを織りまぜて展開するシンプルなプログラムだった。最後はINSTeM関係者、関大梅田キャンパス関係者からのコメントで締めくくった。

午後5時半からのパーティは、一般参加者、出展者、さらには主催者が入り交じりあい、あちこちで話の花が開き、時間を延長しても談笑は尽きなかった。

多くの来場者から、広い意味でのリテラシーをめぐって実践に取り組む多様な関係者がこれだけ集まる場はめずらしい、しかもとても話しやすくアイディアがどんどん湧き出るような心地のよい場のデザインがなされていた、というお褒めの言葉をいただいた。それは出展者、一般参加者のみなさんあってのことであり、また関大梅田キャンパスという社会に開かれた素晴らしい環境と関係者のおかげで成功を収めることができた。心からお礼申し上げたい。

今後もINSTeMでは、年に1度のペースでコンベンションを開催していく予定である。

(INSTeM研究部サブディレクター・水越伸)